Q15 ワインのコルク栓を抜くのはメンドクサイのですが。
コルクについて教えてください。

私が資材担当をしていたのは、もう、10年以上前になりますので、
現在は、少し事情が異なるかもしれません。
新しい情報が入り次第修正いたします。

コルクは地中海性気候の地域でつくられるのですが、その原料は、
カシの一種でコルクガシという種類の木です。
世界で使われるコルクの80%ほどがポルトガル産です。
その他、スペインやモロッコなどでも生産されています。

コルクガシはとても成長が早く、その樹皮を剥いでコルクの形に成形します。
たしか、9年経たないと皮を剥いではいけない、という法律が
ポルトガルにあったかと思います。
また、木が生えている南斜面、北斜面で、年輪の密度も異なります。

その品質によって4つほどのグレードがあるのですが、
日本の消費者は、コルクくずなどに、とてもうるさい(敏感すぎる)ので、
たいていのメーカーは、最上級の品質のものを使っているようです。

十勝ワインでは、ビンの内径が19mm。
そして、コルクは24×38mmを使っています。
(清見などのビンテージは24×45mm)
直径が24mmで、長さが38mmなんですよね。
だから、コルクを打栓するときには、17mmぐらいまで絞って打栓します。
それが、復元して、ビンに密着するのです。

ある本では、ワインにとって、コルクよりもスクリューキャップのほうが、
密着性がよい、と書かれているものもあるのですが、
私の経験では、スクリューキャップ(PPキャップと呼んでます)の方が、
ワインを酸化させやすいイメージをもってます。
コルクの方が、ほどよい酸化なので、ワインの熟成にとって有利なんですよね。

型抜きされたコルクは、漂白処理などをした後に、水分調整されます。
また、くずが落ちにくいように、面取り(コルクの面をナナメに削る)や
筋切り(切り込みを入れる)、といった処理をします。

最近、ワインのコルク臭についての苦情が多くなってきています。
生産地で品質が落ちているのと、コルクにナチュラル感を求めるために、
漂白処理やシリコン塗布などが少なくなってきているため、と思われます。
コルク自体には、それほど匂いはないのですが、コルクにある種のカビが
生えることにより、コルク臭と呼ばれる不快臭が出てくることになるのです。

現在、コルクに替わる素材の開発が進められていて、実用化もされてきている
のですが、なかなか、コルクに勝るものは、ないようです。
また、最近では、コルクくずを固めて成形した、圧搾コルクというのも見かけますね。

ともかく、コルクはワイン製造の資材担当者にとっては、とても神経を使います。